こんにちは、しましまです。
現在世界遺産がいくつあるか知っていますか?
その数なんと1199個です!(2024年現在)
でもみなさん、どんどん増える世界遺産についていけてますか?
そもそも世界遺産の存在する意味を知っているでしょうか?
もしかしたら、お金を出せば世界遺産に認められるんでしょ、などと思っていませんか?
国の政治的な力が働いているんじゃないの?と思っている人もいるかもしれませんね。
お金の匂いがするのよね。
まあ、否定はしないんだけど。。
この記事では、皆が一度は考える「世界遺産は何のためにあるのか?」という素朴な疑問にお答えしたいと思います。
世界遺産の起源や何のためにあるかを学ぶことで、世界遺産のことをもっと好きになってほしいと思います。
世界遺産という概念を創ったのはだれ?
世界遺産の始まりは、UNESCO(ユネスコ)の遺産救済キャンペーンでした。
エジプトの『アブ・シンベル神殿』が、ダム建設により水没の危機にさらされたため、ユネスコの呼びかけで50の国々や民間団体、個人がその救済に協力しました。
ちなみに、アブ・シンベル神殿は、岩山をくりぬいた巨大な岩窟神殿です。
水没から救うために、その岩山を細かく切り分けて移動させ、結合・修復するという、とてつもない大工事が行われたそうです。
一人一人が志を持ち、みんなでこの遺産を守ろうという一体感がそこにありました。
この出来事から、人類として共通の宝を守っていこうじゃないかという思想が生まれたわけですね。
その思想が発展していき、1972年にUNESCOは世界遺産条約を採択します。
今では、世界で193の国と地域が加盟しています。
世界遺産を決めているのはだれ?
どの遺跡が世界遺産になるかを決めているのは『世界遺産委員会』です。
これは世界遺産条約の加盟国から21ヶ国が集められて結成される委員会です。
任期は約4年で基本的には再選せず、各国均等に機会が与えられます。
例えば、2016年の世界遺産委員会の議長国はトルコでした。
クーデターの影響で、委員会の会議が延期されてしまったのは今でも覚えています。
2018年の議長国はバーレーンと、各国持ち回りなのですね。
最終的な世界遺産への承認は世界遺産委員会が行いますが、あくまで最終決定を行う委員会です。
事前の調査は次の二つの諮問機関が行います。
- 文化遺産担当:ICOMOS(イコモス)
- 自然遺産担当:IUCN(アイユーシーエヌ)
複合遺産はこの二つの諮問機関が協力して調査します。
世界遺産委員会は各国の政府間委員会ということで、政治的な匂いがしますよね。しかし…
- 世界遺産委員会に選出されるされる国は均等に機会を与えられていること
- 中立の立場の諮問機関の評価報告書を基に決定を下すこと
これらの条件があるためある程度公平に審議する仕組みが整っていると考えられます。
さらに言うと、各国が嫌がる世界遺産も登録してしまうケースがあります。
それが『負の遺産』と呼ばれる世界遺産群です。
日本には『広島平和記念碑(原爆ドーム)』がありますね。
原爆ドームが負の世界遺産に登録される際には、アメリカの反発があったそうです。
アメリカ側としては自らが起こした大惨事を記録に残されるのは気分が悪いですからね。
しかし、過去に伝えていくべき遺産として、世界遺産委員会にて登録が決定されたのでした。
『負の遺産』シリーズは、本当に考えさせられる世界遺産ばかりです。
世界遺産はお金儲けのためにあるの?
世界遺産に登録されれば、その地域はお金儲けができると考えている人もいるかもしれません。
もちろん、登録された後に観光都市として成功すれば、観光収入を見込むことはできます。
実際に、世界遺産に登録されて観光客が何倍にも増えたという地域はめずらしくありません。
しかし、世界遺産登録でのデメリットを考えると、単純にお金儲けができるとは言いきれません。
世界遺産登録のデメリットは次のようなものがあります。
- 世界遺産の価値を保つための活動は、その遺産を保有する国と地域が行わなければならず、維持費用がかさむ
- 観光で人が増えてしまうと、環境破壊が進む可能性がある
- 景観を損ねれば、世界遺産登録から抹消されるため安易な都市開発ができない
特に3つ目のデメリットに関して、すでに下記の遺産が世界遺産登録を抹消されています。
- 『アラビアオリックスの保護地区(オマーン)』
- 『ドレスデン・エルベ渓谷(ドイツ)』
いずれも観光都市としての価値よりも、都市開発を優先したために、登録を抹消されてしまった遺産になります。
「ドレスデン・エルベ渓谷」は、巨大な橋建設により景観が損なわれるとして世界遺産抹消を警告されました。しかし住民投票の末、建設を進めてしまったのですね。
このようなことから、お金儲けができるなどと安易な考えでは世界遺産登録を進めることはできません。
遺跡の保全や登録後の観光などあらゆる方面に気を配り、地域の協力も得ながら進めていかなければならないのです。
世界遺産はなんのためにあるの?
ずばりこの答えは、『世界の平和のため』と言えるでしょう。
ご説明してきたとおり、世界遺産は単なる観光のためだけに定義されるものではありません。
過去の人類の傑作や教訓を、しっかりと目に見える形で後世に伝えるためにあります。
人類は忘れやすい生き物ですから、このような過去を振り返れる遺産を守っていかなければならないのです。
でなければ、先人の知恵を全く生かせず、人類は衰退してしまうでしょう。
戦争という過ちを何度も繰り返してしまうでしょう。
UNESCOは言います、『人の心の中に、平和のとりでを築かなければならない』。
世界遺産こそ、”平和のとりで”なのです。
人類全体が一丸となって守るからこそ、その先に平和が訪れるのです。
まとめ
世界遺産の存在意義を知ることで興味を持っていただけましたでしょうか。
世界遺産は、勉強すればするほど、その重要性を考えさせられます。
戦争の恐怖など現代の若者にとっては全く身近に感じることはできません。
その恐怖・教訓を後世に伝えていかなければ、人間はまた同じ過ちを繰り返してしまうのです。
私としては軽い気持ちで始めた世界遺産の勉強ですが、いまでは多くの人たちに世界遺産を広めたいと考えています。
世界遺産検定の一部は、遺産を守るために寄付されるそうですので、志のある方はぜひ受験してみてはいかがでしょうか。
コメント
[…] 世界遺産は何のためにあるの? […]
[…] 「世界遺産はなんのためにあるの?」 […]