スルツキー分解とは何?代替効果・所得効果・価格効果と、上級財・下級財についての解説

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スルツキー分解の概要

スルツキー分解は、経済学において、価格の変化が消費者の需要に与える影響を分解する手法です。具体的には、価格変動が消費者の選好にどのように影響するかを、代替効果と所得効果に分けて分析します。この分解は、エフゲニー・スルツキーによって提唱され、その後の消費者理論の基礎となっています。

代替効果とは

代替効果(substitution effect)は、ある財の価格が変化したときに、他の財との相対価格の変化によって生じる消費量の変化を指します。例えば、ある商品の価格が下がった場合、その商品が他の代替商品に比べて相対的に安くなるため、消費者はその商品をより多く消費するようになります。

所得効果とは

所得効果(income effect)は、価格の変化によって消費者の実質所得が変化し、それに伴って消費パターンが変わることを指します。例えば、ある商品の価格が下がると、消費者の可処分所得が増えるため、全体的に消費が増加することがあります。

価格効果とは

価格効果(price effect)は、ある商品の価格変動がその商品の消費量に直接影響を与える全体的な効果です。価格効果は、代替効果と所得効果の合計と見なすことができます。具体的には、価格効果=代替効果+所得効果となります。

上級財と下級財

上級財(正常財)

上級財(superior goods)は、所得が増えると消費量が増加する財です。例えば、高級車やブランド品などがこれに該当します。上級財の場合、所得効果によって消費量が増えるため、所得の増加は直接的に消費の増加につながります。

下級財

下級財(inferior goods)は、所得が増えると消費量が減少する財です。例えば、インスタントラーメンやバスの利用などがこれに該当します。下級財の場合、所得効果によって消費量が減少するため、所得の増加はその財の消費を減少させる傾向があります。

具体例を用いた解説

具体例を用いると、スルツキー分解がより理解しやすくなります。

例1: 代替効果

コーヒーと紅茶を例に考えてみましょう。コーヒーの価格が下がると、消費者はコーヒーをより多く購入し、相対的に価格が高い紅茶の消費を減らすでしょう。これが代替効果です。

例2: 所得効果

同じくコーヒーの価格が下がった場合、消費者の実質的な可処分所得が増加し、その余ったお金で他の商品の消費も増やすことができるでしょう。これが所得効果です。

結論

スルツキー分解は、価格の変化が消費者の需要にどのような影響を与えるかを理解するための重要な手法です。代替効果と所得効果を分解して考えることで、消費者行動の複雑なメカニズムを明らかにすることができます。また、上級財と下級財の概念を通じて、異なる商品の消費パターンも理解しやすくなります。この知識は、経済学を学ぶ上で非常に役立つものとなるでしょう。

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